賃貸物件の設備が破損した場合の対応や注意点について解説!
賃貸物件は大家さんから借りている部屋です。
物件そのものはもちろん、部屋の中の設備も大家さんの所有物となります。
設備などを大切に扱って暮らすことが重要ですが、不注意で破損してしまうことは少なくはありません。
そこで今回は、賃貸物件の設備を破損してしまった際の対応や注意点についてご紹介します。
賃貸物件の初期設備とは?
まず最初に、賃貸物件の初期設備についてご紹介します。
賃貸物件における初期設備とは、物件にすでに設置されている設備のことを指します。
基本的に入居前から設置されているものは、すべて初期設備となりますが、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。
賃貸物件の初期設備には以下のようなものがあります。
●トイレ
●キッチン
●エアコン
●暖房器具
●給湯器
●ガスコンロ
●洗面台
●お風呂
上記のように、賃貸物件には生活に欠かせない設備があらかじめ設置してあります。
また、排水口や蛇口のような細かい部分も初期設備に含まれるでしょう。
具体的にどのような設備が初期設備に該当するのかということについては、賃貸借契約書や重要事項説明書に記載されていますので、確認しておきましょう。
たとえば、前の入居者が設置したエアコンや暖房器具、照明器具などをそのまま設置して退去する場合があります。
その場合は、重要事項説明で宅建士から説明がありますが、初期設備には入りません。
たとえば、前の入居者が設置したエアコンなどは、使用することはできますが、故障した場合は大家さんに請求することができず、入居者が修理する必要があります。
賃貸物件の設備が破損した場合の対応方法
次に、賃貸物件の設備が破損した場合の対応方法について見ていきましょう。
賃貸の初期設備が故障した場合、基本的には大家さんが修理をする義務があります。
しかし、どこまで大家さんが修理をしてくれるのか、気になっているという方も多いのではないでしょうか。
どこまでが設備で、どこからが設備といえないのかということも大きく関わってきます。
また、設備が故障した原因によっても対応方法が大きく変わってくるのです。
それでは、具体的な対応方法を見てみましょう。
設備が破損したら?
賃貸物件の設備が故障、破損した場合、まずはその設備が設備とされているのかを確認する必要があります。
先ほどお伝えした前入居者が置いていったもの、たとえばエアコンやガスコンロなどは使用することはできますが、初期設備に該当しないもあります。
まずは、賃貸借契約書もしくは重要事項説明書を確認してみましょう。
設備のことに関しては、賃貸借契約書には詳しく記載がない場合もあります。
そのため、重要事項説明書は契約後も処分せずに保管しておきましょう。
設備となっている場合は、大家さんに破損した旨の連絡をします。
大家さんの修繕義務は民法によって次のように定められているのです。
民法第606条(賃貸人による修繕等)
賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う
賃貸の設備等が壊れた場合、基本的に大家さんはその修繕をおこなわなければいけません。
賃貸物件の設備が壊れているのに修理をしないという場合、民法上の義務を怠っていることになるのです。
借主の負担になるケース
賃貸物件の設備破損の場合、原則は大家さんが修理をする義務を負いますが、借主が責を負わなければいけないケースもあります。
それは借主の故意や過失によって設備が破損した場合です。
借主が故意に設備を破損した場合、債務不履行または不法行為責任というものが発生します。
この場合は、借主が自己の責任で修理をする必要があるのです。
故意に設備を破損し、修理せず放置した場合、借主は退去時に原状回復する義務があり、後から修理費用を請求されてしまいます。
また、長期間不具合を放置していると、悪化する可能性があります。
故意や過失によるものではなくても、放置したことにより悪化させたとして、責任を問われる場合もあるのです。
賃貸物件の設備を破損した場合は、自然に故障したのか、故意や過失で破損してしまったのかを明らかにする必要があります。
また、先ほども触れましたが、前の入居者が残した設備が故障した場合は、大家さんに修理を負担する義務はありません。
借主が引き続き使用する場合は、自身の責任と負担で修理して使用しましょう。
災害などで設備が破損したら?
それでは、災害などで設備が破損した場合はどうでしょうか?
この場合は、借主が故意に破損させた訳ではありませんので、大家さんが修理費用を負担します。
電球の球などは設備に入る?
賃貸物件の設備は、冒頭でご紹介しただけでもたくさんありますが、細かい設備を含めると、もっとたくさんあります。
たとえば、電球や蛍光灯、水道のパッキンなども破損したら大家さんに修理や交換の義務があるのでしょうか。
これらの細かい設備は、消耗品として借主が交換することが一般的です。
このことに関しては、賃貸借契約書や重要事項説明書に記載していることもあるので確認しておきましょう。
賃貸物件の設備が破損した場合の注意点
最後に賃貸物件の設備が破損した場合の注意点についてご紹介します。
前の入居者の残留物に注意
前入居者の残留物なのか初期設備なのかを入居時に明確にしておかないと、後々トラブルとなる可能性があります。
そのため、賃貸借契約書や重要事項説明を確認し、前入居者の残留物なのか初期設備なのかを明確にしておきましょう。
実際、契約時に重要事項説明を良く聞いていなかったために、トラブルがおこってしまうケースも少なくはありません。
原状回復費に関する注意点
賃貸物件の設備が故障した場合、自然に故障したものは大家さんの負担となります。
また、経年劣化による故障と判断された場合は原状回復の義務はありません。
しかし、経年劣化による故障ではないと判断された場合は、原状回復義務として費用を負担する必要があります。
入居時に敷金を支払っている場合は、そのお金が充当されますが、納めた以上の費用が発生した場合は、退去時に追加で支払いを要求される可能性もあります。
大家さんが修理してくれない場合は?
故意で破損した訳ではなく経年劣化などで故障した場合は、大家さんが修理をする必要があります。
しかし、連絡をしても修理をしてくれないという場合はどうしたら良いでしょうか。
実は、このことに関しては2020年の民法の改正によって次のように定められています。
民法第607条の2(賃借人による修繕)
賃借物の修繕が必要である場合において、次に掲げるときは、賃借人は、その修繕をすることができる。
●賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知し、又は賃貸人がその旨を知ったにもかかわらず、賃貸人が相当の期間内に必要な修繕をしないとき
●急迫の事情があるとき
つまり、大家さんが修理をしてくれない場合は、自分で修理をしても構わないということになります。
まずは大家さんへ連絡を入れることが重要です。
その上で、修理をしてもらえない場合は、自分で修理をおこなうことができ。民法608条に基づいて、大家さんに請求することができます。
そのため、修理業者から受け取った領収書などを紛失しないように注意しましょう。
まとめ
今回は、賃貸物件の設備が破損した場合の対応方法や注意点をご紹介しました。
賃貸物件の設備は基本的に大家さんの持ち物ですから、大家さんに修復の義務があります。
しかし、借主の故意や過失で破損した場合は修理代は、自己負担になりますので注意しましょう。
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